ひざへの衝撃や疲労を軽減させスポーツ障害からお子様を守ります
実験1
☆加曽利式インソールの有効性検討・・ストライド(安定性)
* 一般的なインソールを装着しての屋内7m歩行と、加曽利式インソールを着用した場合のそれとを歩数の差異によって比較することとした。尚、統計的に有意差が認められるか否かについての検討を、それぞれの条件で同一被験者が3回歩行した歩行数の平均値を算出し、対応のあるT検定を用い分析を試みた。尚、加曽利式インソール装着で、有意に歩行数が減少するとすれば、ストライド幅が大きくなったことを示し、安定した歩行を確保できることが示唆できる。下表は、その解析結果である。
対応サンプルの統計量
|
平均値 |
N |
標準偏差 |
平均値の標準誤差 |
|
比較対象
|
一般式 |
14.8308 |
13 |
2.71397 |
.75272 |
加曽利式 |
12.4077 |
13 |
2.37819 |
.65959 |
対応サンプルの相関係数
|
N |
相関係数 |
有意確率 |
|
ペア 1 |
cav & kav |
13 |
.921 |
.000 |
対応サンプルの検定
対応サンプルの差 | t 値 | 自由度 | 有意確率 (両側) | ||||||
平均値 | 標準偏差 |
平均値の標準誤差 | 差の 95% 信頼区間 | ||||||
上限 | 下限 | ||||||||
ペア 1 | cav - kav | 2.42308 | 1.06627 | .29573 | 1.77874 | 3.06741 | 8.194 | 12 | .000 |
* その結果、加曽利式インソール装着のほうが、統計的に有意な(0.1水準)歩行回数の減少を導いた。従って、一般的なインソールよりも、歩行の安定性の一側面を確保できることが示唆された。
実験2
☆ 加曽利式インソールの有効性検討・・速度(機能性)
* 実験1と同時に各被験者の歩行速度が、どのように変化を来すかについての検討も、同様な分析方法を用いて実施した。加曽利式インソール装着において、被験者の歩行速度が有意に速まったのであれば、ピッチを上げることに寄与したことになり、歩行機能の向上の確保に有益性であることが示唆される。下表は、その解析結果である。
対応サンプルの統計量
|
平均値 |
N |
標準偏差 |
平均値の標準誤差 |
|
|
一般的(m/s) |
.8569 |
13 |
.22925 |
.06358 |
|
加曽利(m/s) |
1.0977 |
13 |
.25567 |
.07091 |
対応サンプルの相関係数
|
N |
相関係数 |
有意確率 |
|
|
一般的& V 加曽利 |
13 |
.925 |
.000 |
対応サンプルの検定
対応サンプルの差 | t 値 | 自由度 | 有意確率 (両側) | ||||||
平均値 | 標準偏差 |
平均値の標準誤差 | 差の 95% 信頼区間 | ||||||
上限 | 下限 | ||||||||
一般的-加曽利 | -.24077 | .09751 | .02704 | -.29969 | -.18185 | -8.903 | 12 | .000 |
* その結果、加曽利式インソール装着のほうが、統計的に有意な(0.1水準)歩行速度の増加を導いた。従って、一般的なインソールよりも、歩行の機能性の一側面を確保できることが示唆された。
結論:13名という少ない被験者ではあるが、加曽利式インソールが、高齢者の歩行における安定性や機能性の向上を促すことを示唆する結論となった。今後は、高齢者のみならず、特に歩行、走行の安定性・機能が高いと思われるスポーツ選手のデータを含めて幅広いデータを累積し、その効果について検証を重ねていく所存である。
本結果の意義につて
今後、益々、日本においては高齢者が増加し、そのQOLの維持、あるいは向上に関わる様々な試みが問題視されているのは自明の理でもある。特に、後期高齢者は、転倒によるQOLの質の低下、それが原因で他の疾患へと繋がる可能性は周知のとおりである。
本研究開発は、以上のような状況に鑑み、例え後期高齢者であろうとも、自分の足で安心して歩くことが担保される環境づくりに寄与したいという願いから発したものである。できるだけ自身の足で歩行できることは、後期高齢者にとっては。「生きる力」の源を得ることができることでもある。そこで、いわゆる高齢者の歩行の安定性の欠如、あるいは機能性の低下に目を向け、それらを補えるあるいは機能向上を期待できるインソールの開発に着手することとなったことも既述のとおりである。
また、開発の着眼点についての詳細は、申請書類に記載したとおりであるが、加曽利式インソールの有益性を検証する実験1及び2の結果が以上のように導きだされたことは、高齢者のみならず、我々のように大学でスポーツを科学する研究者にとっても意義深いことである。脚に傷害を持っているスポーツ選手の補助具として、あるいは、アラインメント異常による子どもたちが、安心してスポーツ親しむための補助具としての有効性をも示唆することになるからである。
今後は、高齢者のみならず、スポーツ選手あるいは一般学童・幼児へ対象を広げ、加曽利式インソール装着の有効性を検証していきたい。
共同研究者 大東文化大学 スポーツ・健康科学部
健康科学科 教授 高橋 進